村長行政報告要旨 議会6月定例会議 2022年度
村長所信表明
村議会定例会第5回6月定例会議の開会に当たり、私の村政に対する所信の一端を申し述べ、今後の村政運営に向け、議員各位をはじめとする村民の皆様の深い御理解と御協力を賜りたいと存じます。
このたびの村長選挙では、村民の皆様を始め各方面から力強い御支援・御厚情を賜り、無投票で初当選の栄に浴することができました。同時に村制施行以来133年の歴史を紡いできた伝統ある本村の第15代村長として村政の舵取り役を託され、改めて責任の重大さに身の引き締まる思いであります。
また、今日の東成瀬村を築き、発展させてきた先人・先達の皆様と6期24年にわたり精力的な行政運営と村内外における地方自治の発展に貢献されました佐々木前村長に対し、改めて敬意と感謝を申し上げる次第であります。
これまで村に奉職した41年余りの行政経験を生かし、「人口が減少する中でも、安らぎを実感できる活力ある村づくり」を村民の皆様とともに築くため、全力を傾注する覚悟でございますので、何とぞ、御支援・御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
さて、現下の社会経済情勢は、新型コロナウイルス感染症による厳しい制限は徐々に緩和されつつありますが、ロシアのウクライナ侵略により、世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物等の国際商品の価格は軒並み高騰しております。とりわけ原油高は、車社会の地方を直撃し、更に電気料金へと転嫁され家計の負担が増すなど、社会全体に大きな影を落としております。
このような状況の中、本村では令和8年度を期限とする国直轄の成瀬ダム建設事業が実施されており、令和2年国勢調査における人口は県内で唯一増加に転じております。これにより地方交付税や税収等が増加し、村財政は一息つける状況にあります。また、堤体工事がいよいよ佳境を迎え、地域経済も一定程度の力強さを持って推移していくものと思われます。
しかしながら、この事業の終了とともに急激な人口減少が生じ、本格的な少子高齢化の到来と財政の悪化が懸念されております。
そうした事態に対処するため、今後4年間における私の村政運営の基本的な指針として、次の3項目を掲げました。
一つ目として、喫緊の課題でもある人口減少や地域経済縮小を克服するための総合戦略を盛り込み、心にうるおいのある協働の村づくりを目指す「第5次東成瀬村総合計画」の着実な推進、二つ目として、特別豪雪地帯の指定をうける本村では最も重要となる雪対策を考慮したハード、ソフト両面の生活環境整備、三つ目として、急激な人口減少に伴う財政規模縮小に備えた財政運営の健全化であります。
そして、これらの基本方針の前提として、これからの高齢社会へ適切に対処し、村民の皆様の健康や安心安全な暮らしを支えるためには、楽しそう、参加してみたいと思えるような健康づくりや生きがいづくりを更に推し進め、人々の交流と学びが健康寿命を延ばす、そのような村づくりでなければなりません。そのためには、核となる家庭や地域が助け合い、主体的に健康を維持し社会へ参加する意識を促進するための政策を意識する必要があります。
少子高齢化・人口減少という構造的な課題に加え、新型コロナウイルス感染症の流行により、ライフスタイルや働き方などの急激な変化を余儀なくされ、これまで当たり前だと思われてきた常識が覆され、新たな価値観への対応や挑戦が求められております。
こうした認識のもと、村民皆様の福祉向上、生命や財産を守るという地方自治の基本的な体制の強化や次代を担う子供たちがこの村に誇りや希望を持ち、住み続けたいと思える村づくりに向け、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現を目指すSDGsの理念をもって、東成瀬村の未来を切り拓いてまいる所存でございます。
課題は山積しておりますが、その解決には着眼大局、着手小局で臨み、議会との対話を基本に村民の皆様に寄り添い「気づく、考える、行動する村政」をスローガンに掲げ、職員と一丸となり取り組んでまいりますので、議員の皆様、村民の皆様には格別の御理解、御支援と御協力を心からお願い申し上げまして、所信表明とさせていただきます。
行政報告
1 新型コロナウイルス感染症関連について
秋田県内では1月中旬から新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、東成瀬小学校でも4月中旬から下旬にかけて陽性者及び濃厚接触者が確認されたことから、保健所の指導のもと、1年生の学級について4月27日から5月2日までの間、学級閉鎖としました。
その後、県内の感染者は6月に入ってから減少傾向となり、県は6月10日に感染警戒レベルを「2」から「1」へ引き下げておりますが、基本的な感染防止対策については引き続き実施するよう県民に呼びかけております。
そのような中、3回目のワクチン接種状況につきましては、新たに追加されました12歳から17歳を含めた接種率が、6月27日現在で82.1%となり、希望される住民の皆様への接種は順調に進んでおります。
また、4回目接種につきましては、国の指導に基づいて3回目接種終了後5か月経過の60歳以上の方全員及び18歳以上の基礎疾患をお持ちの方へ実施することとしております。村では、本日から60歳以上の対象者の予約を始め、7月20日からワクチン接種を開始する計画であり、基礎疾患をお持ちの方は申請していただいてから順次進めてまいります。
一方、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業として実施している宿泊助成は、5月末で2,368泊、943万4,000円の利用がありました。
また、小中学校や村民体育館における感染防止対策となる環境整備事業は順調に整備が進んでおります。稲の種苗に対する主食用米等作付け支援事業についても現在対象者の取りまとめを行っており、まとまり次第に交付する予定となっております。
なお、当該交付金事業については、4月に国から交付金の追加配分が行われ関連事業にかかる予算を本定例会議に提出しておりますので、よろしくお願いいたします。
2 成人式について
民法の一部を改正する法律が4月1日に施行されたことに伴い、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、村においては、前年度に20歳に達した方を対象者とし、8月15日に地域交流センターゆるるんにおいて開催する予定としております。
3 ふるさと納税について
令和3年度のふるさと納税は、2,427件、1,818万6,000円となり、前年度と比べ、件数で808件、金額で102万2,000円の増加となっております。
また、今年度から、ふるさと納税運営業務を株式会社ウィルドリブンに委託しており、この会社は、県内他自治体のふるさと納税において大きな実績があります。これまでのふるさと納税業務のノウハウを活かすとともに、村の返礼品出品事業者との連携を密にした返礼品の充実やPR活動により、より多くの皆様にふるさと納税をしていただけるよう期待しております。
4 地域おこし協力隊関連について
地域おこし協力隊については、4月から5月1日まで新たに7名が着任し、村内での活動を始めております。
一方、鈴木大貴さんが2年間の任期を満了し、5月31日付けで退任しました。この後、鈴木さんは、アメリカで約1年半の農業研修を受けられるとのことです。村での経験を活かし、今後の活躍を御期待申し上げます。
7月1日には2名の新隊員が着任する予定となっており、同日時点の地域おこし協力隊員は21名となります。
5 第三セクター関連について
去る6月21日、秋田栗駒リゾート株式会社の株主総会が開催され、令和3年度の決算が承認されました。
県や村の宿泊助成事業の効果により、ホテルブラン、栗駒山荘とも宿泊部門は好調でしたが、1月中旬以降の新型コロナウイルス感染症再拡大の影響によるスキー教室の中止、各種大会や合宿等の自粛要請に加え、社員に感染者が発生したことによる11日間のスキー場臨時休業などにより、前年に引き続き厳しい状況となっております。
このような中、今回の総会において私が代表取締役社長に選任されました。現状の厳しい経営状況を立て直し、好転できるよう努めてまいりますので、今後とも御理解と御協力をお願いいたします。
なお、栗駒山荘の大規模改修工事については、4月25日の臨時会議において契約案を可決いただき、同日付で契約を締結しております。今後、工事が本格化し宿泊客の皆様には御迷惑をお掛けしますが、早期完成に努めてまいりますので、御理解のほど、お願いいたします。
6 定住促進住宅(仮称)について
定住促進住宅建設事業について公募型プロポーザルを実施したところ、1社から参加申込みがありました。
提出された企画提案書を東成瀬村プロポーザル審査委員会で審査した結果、株式会社鈴木建設工業・積水ハウス株式会社共同事業体が契約候補者として選定されました。
本定例会議において債務負担行為の設定を御承認いただいた後、同事業体と維持管理に関することなど詳細について協議し、契約を締結することとなります。
建設用地については、地権者の皆様との売買契約は締結済みで農地転用の許可も得ております。用地購入費については、補正予算に計上しておりますので、よろしくお願いいたします。
7 豪雪対策本部の廃止について
今年2月7日に設置しました豪雪対策本部を5月9日に廃止しました。今冬の雪は、当初は例年並みの積雪で推移しておりましたが、1月下旬からの断続的な降雪により、一時は前年を超える積雪量となり、2年連続の豪雪となりました。
しかしながら、住民の皆様を始め関係各位の御支援と御協力により、被害については最小限にとどめることができ、無事乗り越えられたことに感謝申し上げます。
8 消防防災関連について
6月9日及び6月22日、仁郷山国有林内で県外の方による山岳遭難が発生しましたが、2件とも翌日に村の遭難捜索救助隊の御尽力により無事保護しております。
村消防訓練大会については、7月3日に3年ぶりに開催を予定しており、新型コロナウイルス感染症対策により「小型ポンプ操法の部」に限った訓練大会としております。
更に8月30日には、湯沢市雄勝郡総合防災訓練が本村を会場に開催することが決定しました。今後、内容が決まり次第、住民及び関係団体等へ周知を行い、訓練への参加協力を呼びかけてまいります。
9 検診事業について
今年度の各種検診事業が6月27日から始まっております。昨年度同様に密閉・密集・密接の「3密」を避ける環境を整え、来場者の検温を行うなど感染予防対策を講じた上で実施しております。住民の皆様には御不便をおかけしますが、検診事業を安全に実施するため、御理解と御協力をお願いいたします。
10 認知症高齢者等見守りシール交付事業について
認知症等の症状により行方不明となるおそれのある高齢者等への対策として、希望する住民へ見守りシールを交付し、早期発見や保護を図る事業を6月から開始しております。
今後、住民への周知や警察・消防等の関係機関と連携しながら、見守りや声掛けがしやすい環境づくりを目指してまいります。
11 帯状疱疹予防接種助成事業について
帯状疱疹は、50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。村では、帯状疱疹ワクチン接種に係る費用の負担を軽減することにより接種を促進し、帯状疱疹の発症及び重症化を予防することを目的に、予防接種に係る費用の一部を助成するための関連経費を本定例会議の補正予算に計上しておりますので、よろしくお願いいたします。
12 国民健康保険の運営状況について
国保改革により国民健康保険の運営が県に移管され、5年目となりました。
これまで、国保税につきましては、国民健康保険運営協議会において決定された方針に従い、国保改革に伴う医療費等の動向を見ながら据え置きとしてまいりました。
今年度も、試算結果をもとに税率の変更について検討してまいりましたが、医療費の推移や基金の状況等を勘案した結果、十分に健全な財政運営が可能と考えられることから、税率は据え置くこととしております。
13 簡易水道事業について
中部地区簡易水道事業の財源となる国庫補助金は、満額の内示となりました。水道資器材の価格高騰により、工事内容に若干変更が生じておりますが、概ね計画どおり事業が進捗しております。
工事関係では、主に岩井川・入道地区内への水道管埋設工事、また、各家庭の給水管埋設工事及び入道配水池築造工事を実施する予定となっており、これらの工事については発注済みとなっております。
なお、入道配水池築造工事については、本定例会議に工事契約案件として提出しておりますので、よろしくお願いいたします。
工事期間中は地域住民の皆様に、交通規制などで御迷惑をおかけしますが、御理解と御協力をお願いいたします。
14 今春の稲作状況について
村内の稲作状況は、期間を通じ日照時間が平年より多かったことから、ハウス内の温度が高まり、稲の生育も概ね順調で、田植作業も例年並みに終えております。
6月に入ってからは、一時低温となり田植後の分げつ発生はやや遅れましたが、天候も回復し梅雨時期に入っております。今後は、天候不順等に対する生育管理を注視するとともに、農業総合指導センターの巡回事業において情報収集に努め、適宜、農家の皆様へ情報提供を行ってまいります。
15 水と緑の森づくり税等林業関係事業について
秋田県水と緑の森づくり税を財源とするマツ林・ナラ林等景観向上事業は、岩井川地区において、枯死したナラ林の伐倒処理を実施する予定です。
また、豊かな里山林整備事業では、ツキノワグマ等の野生動物が潜む可能性のある空間を排除し、人的被害の未然防止と景観向上等のため、滝ノ沢地区の菅生田から昨年度実施した平良地区の間の平野部との境界にある森林に対して、除伐などの施業を実施する予定です。
なお、県営治山事業については、狼沢の地すべり対策工事や田子内一ノ沢地区の治山工事を行っており、工事車両の通行などで御不便をおかけしますが、各該当地区住民の御協力をお願いいたします。
16 建設事業関連について
今年度の社会資本整備総合交付金事業については、昨年度に引き続き宮田上林線の道路改良及び三又岩井川線等の消融雪施設整備事業を実施し、地区要望の実現と通学路となっている路線の改良整備を行う計画としております。
また、新規事業として菅生田バイパス線の道路改良工事を進めており、今年度の事業完了を目指しております。
国庫補助事業を活用した橋りょうの長寿命化事業については、令和3年度に策定した橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、のぞき橋及び手倉橋の修繕工事に必要な調査設計業務を実施しております。また、今年度実施予定の村中橋については、添架されている電気通信設備の移設に慎重な手続きが必要なことから、時間を要することも想定され繰越しも含め準備を進めております。
県発注工事については、維持補修工事として仁郷大湯線の舗装補修工事、災害対策工事として仁郷大湯線の法面土砂対策工事及び横手東成瀬線の路肩土砂災害対策工事が実施されているほか、道路施設の長寿命化対策として国道342号の谷地橋補修工事及び狐狼化スノーシェッド補修工事が実施されております。今後は、地区要望事項の田ノ沢及び五里台沢の浚渫(しゅんせつ)工事、横手東成瀬線の通称「栗の木坂」付近の舗装補修工事が実施される予定となっております。
17 ジュネス栗駒カントリーパークについて
パークゴルフ場については、5月20日の国道397号の部分開通に合わせてオープンしております。昨年同様、新型コロナウイルス感染症対策には十分留意しながら運営してまいります。
18 成瀬ダム事業関連について
令和4年度の成瀬ダム建設事業予算は、232億3,800万円で前年度とほぼ同額となっており、引き続き新型コロナウイルス感染症対策を実施しながら本体工事や国道342号の付替工事等を継続するとともに、新たにダム管理庁舎建築工事に着手する予定となっております。
工事の状況については、ダム本体の基礎掘削が完了し、本体工事は現在、材料採取、堤体工事が実施されております。今年度までの堤体打設量は、累計で250万立方メートル、進捗率ベースでは全体の51%となる見込みであり、堤体工事の最盛期を迎え、確実に事業の進捗を図る計画となっております。
また、国道342号付替工事では、令和5年春の開通に向け、未供用区間の照明や安全施設の工事などが進められております。