村長行政報告要旨 議会12月定例会議 2020年度
1 新型コロナウイルス感染症関連について
新型コロナウイルス感染症は「第3波」とされる流行が大都市部を中心に急拡大している。湯沢保健所管内では4月の1例以外に感染は確認されていないが、秋田県内では、11月下旬に秋田市内の飲食店においてクラスターが確認されるなど、11月末で90例と感染が急増しており予断を許さない状況が続いている。また、国内外で開発が進められているワクチンは、米国製薬大手ファイザー製が英国で承認され、接種が開始されると報じられ、国内でも年度内に接種が始まる可能性が高まっている。また、先の臨時国会において改正予防接種法が成立し、ワクチン接種は市町村が行い、その費用は全額国が負担し、接種による健康被害の賠償を国が肩代わりすることとなった。なお、7月から開始した「1人1万円の応援クーポン券」は、利用期限が12月末と迫っているが、11月末の換金率は約66%と相当数が失効する可能性もあり、今一度全村に広く周知し、利用促進を強化していく。新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見えない状況の中で、インフルエンザとの同時流行も懸念されるが、ワクチン実用化の動きが加速し、明るい兆しも見え始めており、今後も国県の動きに的確に応じ、村民の健康、安全・安心な暮らしを最優先に迅速に対処していく。
2 ヤマト運輸株式会社と連携と協力に関する協定の締結について
10月26日、ヤマト運輸株式会社と「連携と協力に関する協定」の締結を行った。同社とは、平成25年に「災害時における物資輸送及び物資拠点施設の運営に関する協定」を締結しており、今回は、「災害対策」「安全・安心な地域づくり」「村産品の国内外への販路拡大」など、9つのテーマに取り組んでいく包括的な協定となっている。今後、双方が互いに連携・協力しながら、同社の広大なネットワーク網を活用した様々な取組を通じて、村内の安全・安心を始め、活性化対策を推進していく。
3 東成瀬村総合計画等について
現在、国では、過疎地域自立促進特別措置法に代わる新法について検討されており、その内容については今後明らかになってくると思うが、あらゆる面で村政運営に大きな影響を及ぼすものである。また、過疎債を有効に活用するためには、引き続き過疎地域自立促進市町村計画の策定も想定している。村の総合計画は、この過疎計画との整合性を図る必要性があることから、新たな過疎法の施行に併せて次期計画を策定する予定であり、今年度においても必要な作業を行い、来年夏ごろには骨子を示したい。
4 地域づくり事業協同組合について
今年6月4日に施行された「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」に基づく「東成瀬村地域づくり事業協同組合」の創立総会が11月12日に開催された。既に県知事の認可を得ており、現在は、令和3年1月からの事業開始に向け準備を進めている状況にある。村としては、従業員不足が深刻なサービス業や農林業等の雇用の増加や定住対策として大いに期待している。
5 ふるさと納税について
11月末現在で1,025件、1,126万円の寄附があり、前年度同期に対し、件数で285件、金額で427万5000円の増加となっている。
6 移住定住対策について
移住定住対策として整備を実施している「田子内定住住宅」と「滝ノ沢空き家活用住宅」は、募集の結果、村外より各1世帯ずつ入居が決定し、整備が終わり次第入居する運びとなっている。
7 第3セクターの状況について
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、4月から5月までの2か月間全く営業できない状況が続き、また、慢性的な従業員不足も重なり、大変厳しい運営となった。7月以降は、ホテルブランを予約営業とし、栗駒山荘の営業を重点的に行う態勢で臨み、11月3日まで無事営業することができた。この間、「村の応援クーポン券発行事業」や「県のプレミアム宿泊券・飲食券事業」さらには「国のGoToトラベル・地域共通クーポン券」の効果により、紅葉期である10月の栗駒山荘は、昨年を大きく上回る売上げとなった。今後、スキーシーズンを迎えるが、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明な状況であるため、当面は感染防止対策に万全を期すとともに柔軟な営業に努め、売上げの向上及び利益の確保に努めていきたい。
8 消防団出初式について
令和3年の出初式については、新型コロナウイルス感染症へ配慮し、参集範囲を消防団幹部及び各賞受賞者代表のみに限定し、来年1月4日に防災情報センターを会場に開催することとしている。
9 簡易水道事業について
事業は順調に進ちょくしている。岩井川配水池の築造工事など今年度予定した工事はほぼ完了しており、今後は、浄水棟内で行っている機械設備工事や電気設備工事を引き続き進め、工期内の完成に努める。
10 水稲の作況状況について
10月15日に国が発表した秋田県の作況指数は「105」で「やや良」となった。今年の稲作状況は、例年に比べ7月の降水量が多く、倒伏やいもち病等の発生が心配されたが、出穂期を過ぎてから高温傾向が続いたため生育も順調で、稲刈り作業も早い時期から始まり、無事に終了している。JAこまち東成瀬支店によると、出荷契約数量に対して93.5%、一等米比率95.2%となり、昨年に引き続き高品質で収穫量の多い出来秋となったようだ。
11 青果物等の状況について
夏秋トマトは梅雨入り後の曇天や8月からの高温等に対する生育管理に苦労する状況だったが、市場の高単価に支えられ販売金額は前年比119.9%と好調な結果となった。また、リンドウ、アスパラ、枝豆、イチゴ、インゲンについては、天候や出荷時期等により、前年の収量及び販売金額を下回る状況となっている。菌床シイタケについては、これから本格的な出荷を迎えますが、相場は比較的安定しているとのことで、良好な生育と販売金額の上昇に期待したい。
12 獣被害対策について
今年の村内における有害鳥獣の目撃情報は、ツキノワグマ43件、イノシシ17件、ニホンジカ3件と村内全域で目撃されている。特にイノシシの目撃が例年より多く、今後具体的な対策が必要であると認識している。
村としては、引き続き出没等の警戒を呼びかけるとともに、県や猟友会等の関係者と連携を深め、被害対策に努めていく。
13 建設事業関連について
村事業については、三又岩井川線の散水施設水源工事を除く、すべての工事は完成しており、平成30年度より進めている田子内旧国道線の舗装補修工事が全線完成となった。県関係の事業についても、村内の工事は、ほぼ完成しているとのことだ。カントリーパークの今シーズンの営業は11月9日に終了しており、パークゴルフ場の利用者数は5,776人と、例年にない大幅な減少となっている。新型コロナウイルス感染症による移動制限や各種大会の中止が大きく響いており、併せて長雨や猛暑の影響もあったと分析している。今冬の除雪については、除雪事業計画に基づいて実施することを関係者で確認している。
14 成瀬ダム事業関連について
本体工事については、今年6月から堤体内部のCSG打設が始まり、今年度の打設量、保護コンクリート、内部コンクリート、CSGの総量は、34万7,127㎥となっている。全体数量に対しては、7.1%の進ちょくで、CSG打設には、「現場の工場化」を最終目標とした建設機械の自動化による次世代建設生産システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」を導入しており、その管制室と成瀬ダムに関する広報施設を備えた施設「KAJIMA DX LABO」が10月にオープンしている。開館にあわせ、報道関係者向けの見学会を実施した結果、テレビや新聞で報道され、大きな反響を呼んでいる状況であり、様々な分野の団体から申込みがあった。今年度は、新型コロナウイルスの影響により、現場見学会を一時制限していたが、秋田県内の感染状況を踏まえ、8月から秋田県内在住者に限定して、10月からは、首都圏などとの往来自粛要請の解除を踏まえ、申込み対象の制限を解除し、従来の現場案内を再開している。また、村産業祭に併せた特別見学会も規模を縮小して実施したほか、11月には村の要請により村内宿泊者に限定した「夜の現場見学会」を実施したところ大変好評だった。今後も村に宿泊する企画を成瀬ダム工事事務所及び各JVの協力を得ながら計画していきたい。