村長行政報告要旨 議会3月定例会議 2020年度
<施政方針>
公約とした基本政策の方向性及び施政方針について
「暮らしやすい生活環境づくり」については、昨年度に引き続き、中部地区簡易水道の整備を始めとした生活インフラの整備充実に努めていく。そして、今後予定されている新型コロナワクチン接種は、村民の安全確保に向けた極めて重要な一手であると考えており、関係機関と連携し、円滑に実施する。
「伸びやかな人材育成と文化の継承」については、新たな郷土誌を令和3年度中に発刊することとしている。
また、令和2年度に小中学校へ導入したタブレットが有効に活用できるよう、GIGAスクール事業に取り組むこことしている。
「産業振興と交流事業の促進」については、成瀬ダムの堤体打設工事に係るクワッドアクセル(自動運転技術)やKAJIMA DXラボのオープンなどにより、見学者、観光客の増加が予想され、関係機関と連携して観光・交流環境の充実に取り組んでいきたい。また、ナイトツアーなどの特別見学会も企画・提案したい。 また、この1月に設立した「特定地域づくり事業協同組合」への支援、森林環境譲与税などを活用した里山林の整備なども引き続き行っていく。
新たな取組としては、全日本空輸株式会社(ANA)との連携協力協定を締結すべく、その準備を進めていく。
具体的な内容は、今後の協議で詰めていくこととなるが、全日空の持つ資源や機能を地域活性化につなげていきたいと考えている。併せて、職員を受け入れ、これまでの経験や多様なチャンネルを生かし、観光商品開発や村特産品販売促進などの分野の業務を担っていただきたいと考えている。
また、行政のデジタル化に関連し、国の方針では、2025年度までに自治体システムの標準化を目指すこととなっている。 住民記録、地方税、福祉など、基幹系といわれるシステムを統一化するものであり、具体的には、町村電算システム共同事業組合が中心となって進めていくが、村民の利便性の向上と行政事務の負担軽減につながるものと期待しており、適宜対応していく。
総合計画等について
現在、政府与党において過疎地域自立促進特別措置法に代わる新法について検討されており、開会中の通常国会に議員提案される予定と伺っている。新法案の名称は「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」で令和3年度から10年間の時限立法となる見通しで、引き続き過疎計画を策定することを想定している。
現在の総合計画は、今年度が最終年となっているが、この過疎計画との整合性を図る必要性がある。
更に、東成瀬村まち・ひと・しごと総合戦略も見直しの時期になっているが、具体的な施策を挙げる必要があり、この施策は2つの計画に共通するものである。
このため、2つの計画と総合戦略については、村民から広く意見を伺った上で、令和3年度中に策定していきたい。
村財政について
令和3年度政府予算案においては、国の第3次補正予算と合わせ、新型コロナウイルスの感染拡大に万全を期しつつ、デジタル社会・グリーン社会、活力ある地方、全世代型社会保障制度などの中長期的な課題にも対応することとしており、106兆円を超える過去最大の予算となっている。
一方、地方財政対策では、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減収となる中、地方公共団体が行政サービスを安定的に提供しつつ、防災・減災、国土強靱化などの重要課題に取り組めるよう、一般財源総額では63兆1,000億円が計上されている。
人口減少の進行や社会保障経費の増加、国税の減収など、社会情勢が大きく変化し、地方交付税等の一般財源の見通しが不透明な状況にある中にあっても、自立した村としてこの難局を乗り切っていかなければならない。 引き続き、財源捻出に取り組み、過疎債、各種の補助制度、ふるさと納税などを活用し、村民生活に関連する事業については着実に実施すべく、財政運営について可能な限り努めていく。 ウィズコロナの時代において、地方を取り巻く社会情勢は依然として厳しいものがあるが、行政需要を適切に把握し、対応すべき施策については確実に対応していきたいと考えている。
<行政報告>
1 令和3年度予算について
令和3年度一般会計予算は前年度に対し、1億7,800万円、5.4%増の34億7,500万円となった。
歳入における普通交付税は、地方財政計画上、前年度に対し、8,503億円、5.1%増の大きな伸び率を示しており、村予算額も今年度を上回るとの試算であったが、前年度同額の16億円を計上している。
歳出では、過疎債を活用した事業を継続するほか、新型コロナウイルス感染症対策となる施設整備・経済対策、ワクチン接種事業を中心に予算を計上している。また、ハード事業では、林業振興事業、栗駒山荘大規模改修事業、消防施設整備事業を中心に予算を計上した。
特別会計では、簡易水道事業の中部地区施設整備事業に関する経費を計上している。 大型のハード事業が続き、これらの起債償還が重なるピークを迎えつつあり、多額の基金取崩しが続いているが、厳しい財政状況にあることを十分に認識し、健全な財政運営に努めたい。
2 豪雪対策・災害救助法適用について
秋田県では、1月7日に国から災害救助法の適用を受け、同日、救助に関する事務の一部を村に委任している。 村が実施主体となった除排雪作業は「災害時における応急対策業務に関する協定」に基づき、村建設業協会の支援を得て実施している。
救助世帯は、自衛隊災害派遣が38世帯、災害救助法適用では66世帯、危険空き家6棟に対処した。
3 新型コロナウイルス感染症対策について
1月7日の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受け、1月12日に対策本部を設置している。 また、湯沢保管所管内でも1月8日に2例目となる感染者が確認された後、感染者が相次ぎ、村有施設の使用について一部制限を行うなど感染防止を強
化している。 また、新型コロナワクチンについては、医療従事者への先行接種が始まっており、今月中には村関係者への接種も行われる予定だ。 接種は65歳以上の方から開始し、その後に基礎疾患のある方、そして一般の方といった順番で進め、高齢者施設等の従事者へは施設の入所者と同時期に接種することも検討している。
4 指定管理者制度導入の見直しについて
指定管理者制度を導入できる施設は、広く住民の利用に供されることを前提としており、学校給食センターや加工所などの住民の利用を想定していない施設は、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」には当たらないと総務省の見解が示されている。
このため、今年度末で指定管理の期間が満了する「東成瀬村農産物加工所」及び「東成瀬村食肉加工センター」について、今後は業務委託による施設運営を行うため、本定例会議に関係条例の一部改正案を提出している。
5 地域おこし協力隊について
令和3年度の地域おこし協力隊を募集したところ、6名の応募があり、2月中にリモートによる面接を実施し、全員の採用を内定している。
6 ふるさと納税について
令和3年2月末現在で1,566件、1,674万円の寄附額となっており、前年度実績に対し、件数で399件、金額で387万円多くなっている。
7 アンテナショップ(むらむすび)について
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、度重なる営業時間短縮要請等により、経営を圧迫していることから、新型コロナ関連が収束するまで、店舗の貸借契約を解約し、「新たなスタイルで提案できるまで休止したい」と委託先のスモールエレファントか
ら申出があった。 村としても、現状のまま継続することは、厳しい状況であると判断し、申出を受けることとした。
8 第三セクター関連について
12月から1月までのホテルブランは、国のGOTOトラベル事業の中止、忘年会や新年会の自粛などにより、飲食を伴う会議等がすべてキャンセルとなっている。また、村が1月から開始した宿泊助成事業により、宿泊者が増加するなど、一定の効果があったものの、例年3月に実施されている学校関連の謝恩会や送別会などの予約も全く入っていない状況である。 一方、スキー場については、オープン当初から積雪は十分であったものの、年末年始の豪雪により、入り込み者・売上げとも例年の半分程度に止まっており、
大変厳しい状況である。
9 新型コロナ関連地方創生臨時交付金事業について
応援クーポン券事業として実施している宿泊助成について、実施期間を3月31日まで延長することとした。
宿泊助成事業と栗駒山荘の感染対策工事の経費を令和3年度当初予算に計上し、これ以外の事業については、今後庁内で協議していく。
10 特定地域づくり事業協同組合について
令和3年1月から事業を開始し、現在3名が職員として勤務している。目的である従業員や後継者不足解消、雇用の場の確保につながるよう、事業の推進に努めたい。
11 介護保険計画について
来年度からの次期3か年にわたる第8期計画に向けた改定作業を進めてきた。 次期計画の策定に際しては、国が掲げる介護予防・健康づくり施策の充実等を踏まえ、被保険者の負担が大きくならないよう、介護給付費準備基金を繰り入れするなどし、基準月額を前期比500円増の6,200円とした。
12 簡易水道事業について
簡易水道事業については、順調に進ちょくしている。 来年度は、中部地区の水道施設整備において、主に岩井川旧国道線への配水管の布設工事を行う予定だ。
13 農業施設の雪害対策等について
本村においても、農業用パイプハウスを中心に約50件、被害額は約5,000万円の規模となっている。 村では、国や県と連携して農業施設復旧への支援及び今冬の施設維持経費に対しての支援等を行うため、関連予算を本定例会議に提出している。
14 令和3年産米の生産の目安について
村では、先の農業再生協議会総会において、令和3年産米の生産の目安を数量換算で対前年比48トン減の1,095トン、作付け率58.4%と決定し、1月下旬に各生産者へ通知している。
15 経営所得安定対策等交付金の実績について
国から令和2年度の経営所得安定対策等交付金として2,996万円余りを12月末まで交付している。
16 イノシシ等の捕獲について
昨年12月以降、7件のイノシシ目撃情報があり、1月に大柳地区と小五里台地区で各1頭、2月には平良地区で2頭、平良地区においては同月にニホンジカ1頭を捕獲している。
17 建設事業関連について
除雪体制については、今冬も万全を期しているが、12月降り始めから24時間の降雪量が63cmに達し、1週間の累加降雪量が3mとなるなど、一時国道の交通にも支障が生じた。県と村が協力し昼夜を問わず対応した結果、何とか交通が確保されたと思っている。
18 成瀬ダム事業関連について
令和3年度の成瀬ダム事業予算は、政府原案において約232億円が示されたところだ。工事内容としては引き続き、本体工事や取水設備工事、国道付替工事等の進ちょくを図ることとともに、県営成瀬発電所工事に着手する予定と伺っている。 今年度の冬期間の作業としては、右岸天端部における基礎処理工の施工や、堤体上流部においてCSGの確認試験を行っている。